頭の中の「もう一人の私」の正体|エゴは敵ではなく、古い守り役だった

「また自分を責めてる」
「素直に謝ればいいのに、意地を張ってしまった」
「あの人のこと、心のどこかで下に見ている気がする」

全部が当てはまらなくても大丈夫です。どれかひとつに「私も、と思うところがあるかもしれない」と感じたなら、今日の話はきっと届きます。

私も長いあいだ、この「もう一人の私」と戦っていました。
消そうとして、抑えつけようとして、うまくいかなくて、そのことでまた自分を責めて。

でも、あるときから見え方が変わったんです。

あの声は、私の邪魔をしていたのではなく、私を守っていた。
しかも、ずいぶん昔から、ずっと同じ仕事を続けてくれていた。

インナーチャイルドが「守られている子ども」の話なら、これは「守っている大人」の話です。

※読んでいてつらくなったら、途中でやめて大丈夫です。深い傷は、ひとりで掘らずに専門家と一緒に見ていくのが安全です。

頭の中の声は、昔あなたが雇った「警備員さん」

こんなふうに想像してみてください。

小さかったころのあなたが、こわい思いをした。
そのとき、心のなかで警備員さんを一人、雇ったんです。

「もう二度と、あんな思いはしないように見張っていてね」と。

その子が決めたマニュアルは、たとえばこんな感じです。

– 期待しない。期待すると、裏切られたときに痛いから
– 先に自分を責める。人から責められる前に済ませておけば、そこまで痛くないから
– 誰にも頼らない。頼った相手がいなくなったら、もっとこわいから

このマニュアルは、当時のあなたにとってとてもよくできた作戦でした。実際、それであなたはここまで生き延びてきたんです。

そして問題は、この警備員さんが、とても真面目で、一度も辞めていないということ。

あれから何十年たっても、当時のマニュアルのまま、同じ場所を見張り続けています。だからちょっと誰かが近づいただけで、大昔の設定で警報が鳴ってしまう。

こういう心の働きを「エゴ」という言葉で説明することもあるようです。ただ、使う人によって指しているものが少しずつ違う言葉でもあるので、この記事では私なりに「古い守り役」と呼んでいきますね。そのほうが、私にはしっくりきています。

その声には、ちゃんと役割があった

自分でも「なんでこんなことするんだろう」と思う反応には、たいてい役割があります。

自分を責める声
先に自分を責めておけば、他人から責められたときのダメージが減る。これは、痛みを予測して先に払っておく防衛です。

意地を張る/先に見限る
裏切られたくないから、傷つく前にこちらから距離を取っておく。「どうせこの人もそうでしょ」と先にレッテルを貼れば、期待して落ちる痛みを味わわずに済みます。

人を下に見てしまう
上にいれば、支配されない。これは強さではなく、「上にいないと安全じゃない」と思っているからこそ出る反応かもしれません。

どれも、性格が悪いから出てくるのではありません。
安全を確保するために、心が選んだやり方なんです。

ここに気づけると、自分への言葉が少し変わります。
「なんで私はこうなんだろう」から、「これは、何から私を守ろうとしてるんだろう」へ。

戦うほど、警備員さんは強くなる

ここが、私がいちばん長く間違えていたところです。

「こんな自分はダメだ」「早く消さなきゃ」と思うほど、その声は静かになるどころか、大きくなりました。

当たり前かもしれません。
守っているつもりの相手から「おまえは要らない」と言われたら、警備員さんはもっと必死に、自分の必要性を主張するしかないからです。

抑えつけたものは、消えるのではなく、見えないところに移動します。そして余裕がないときに、思ってもいない形で出てきたりする。

だから必要なのは、追い出すことではなく、まず「いてくれたんだね」と認めることでした。

認めるというのは、言いなりになることではありません。
「あなたの言い分は聞いた。でも、決めるのは私」。この立ち位置です。

私がやったのは「戦い」ではなく、送り出すことでした

ある日、私は自分の中の守り役に、こんなふうに話しかけてみました。

「これまで、ずっと見張っててくれてありがとう。
あなたがいたから、私はあそこを通り抜けられた。
でも、私はもう大人になったよ。ここから先は、私が引き受けるね」

言い終わったあと、胸のあたりがすっと静かになる感じがありました。
私はずっと追い出そうとしていたのに、向こうはただ、私を守るためだけに立ち続けてくれていたんだ。そう思ったら、もう戦う気持ちがなくなっていたんです。

もう見張らなくていいよ。ここから先は、私の番。
そんなふうに、心のなかで役目を交代したような感覚でした。

やっていることは、クビにするのではなく、感謝して送り出すこと。
やっつけるのでもなく、なだめて終わらせること。
私のなかでは、なんとなく卒業式みたいだな、と思っています。

もちろん、一回やったら二度と声が出なくなる、というものではありません。私も今でもときどき警報が鳴ります。でも、鳴ったときに「あ、また昔のマニュアルで動いてるな」と気づけるようになると、飲み込まれる時間がずいぶん短くなりました。

今日からできる、小さなワーク3つ

ワーク1:声を、そのまま紙に書き出す

頭の中で言われている言葉を、きれいにせず、そのまま書いてみてください。
「どうせ私なんて」「またやった」「バカにされてる」。

頭の中にあるうちは、その声は「私の本音」の顔をしています。紙に書くと、外側から眺められるものに変わります。

ワーク2:「何を守りたかったの?」と聞いてみる

書き出した声の横に、こう書き足します。

– この声は、私を何から守ろうとしてる?
– この決まりを作ったのは、何歳ごろの私だろう?

「たぶん、小学生くらいの私かな」くらいでかまいません。年齢がつくと、「今の私の判断」ではなく「昔の判断」なんだ、と体感しやすくなります。

ワーク3:三行の「ありがとう」を書く

最後に、その守り役へ短い手紙を書きます。

  1. これまで守ってくれてありがとう
  2. あなたが守ってくれたのは、〇〇(怖かったこと・悲しかったこと)だったね
  3. ここから先は、私が引き受けます

うまく書けなくても大丈夫。「ありがとう」の一行だけでも十分です。

よくある質問

Q. エゴは、消したほうがいいんですか?
消すというより、位置を戻すイメージが近いと思います。守り役が前に出て指揮を執っている状態から、あなたが決めて、守り役はサポートに回る形へ。完全になくすことを目指さなくて大丈夫です。

Q. 感謝しようとしても、腹が立ってしまいます。
それで自然です。まだ怒りが残っているなら、順番として先に来るのは感謝ではなく、「嫌だった」「悲しかった」を認めることかもしれません。無理に良い子の言葉にしなくていいんです。

Q. これをやれば、性格が変わりますか?
性格が入れ替わるというより、反応と自分のあいだに、すきまができるという感じです。同じことが起きても、飲み込まれるまでの時間が変わってくる。そういう変化のほうが、私は現実的だと思っています。

まとめ:あなたの中に、敵はいなかった

自分を責める声も、意地も、つい人を下に見てしまう気持ちも。

そのどれもが、あの頃のあなたが必死に用意した守りだったのかもしれません。

だとしたら、必要なのは戦いではなく、ねぎらいです。

「ありがとう。もう大丈夫だよ」

その一言が言えた日から、少しずつ景色が変わりはじめることがあります🌸

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※この記事は自己理解とセルフケアのための情報で、医学的な診断や治療ではありません。つらい状態が続くときや、気になる症状があるときは、医療機関にご相談ください。

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